「天壇斗の旋律」 誕生秘話

 

2019年の10月のある日、もうすぐお昼時になろうかという時間に、一泊泊まりとは思えない位の大きな荷物を抱えて京都駅に着きました。天才的な方向音痴の私は慣れない京都駅の中でウロウロ迷いながら、かねてからの約束通りの時間に作曲家のLucamina(ルカミナ)夫妻との待ち合わせ場所にようやく辿り着いたその時に、携帯がなりました。カバンの中で行方不明になりそうになっていた携帯を手に急いで出ると、そのL夫人からでした。まだ、家を出ていないようです。

「えっ?まだ家にいるの?」
彼らの家から京都駅までは車で一時間弱かかるのです。どうしたんだろうか、と少し心配になりました。

「すみません、家を出ようとしたら主人に天壇斗の曲が降りてきたようで、それを演奏して録音するのに時間がかかってしまって、今から家を出ます。お待たせしてしまい申し訳ありません。」
彼女は申し訳なさそうに、そう話しました。

「えっ?天壇斗の曲が降りてきたの⁈」
不意をつかれた私は京都駅の雑踏の中で大声をあげてしまいました。

その時の驚きをどう表現したらいいのでしょう。悪戯をして、正直に白状したところ、母親に叱られると思いきや目の前に突然ケーキを出されたような驚き(私が子供の頃のケーキというのは特別な時にしか食べられないとっておきの特別なご馳走)に近いような・・・

実はその時お二人にお渡ししようと新しく創作した天壇斗を持ってきていました。でも、彼らにその事は一言も言っていなかったのです。その日京都で彼らに会おうと思ったのは、彼らとのある約束を果たせなくなりそうでしたので、それを伝えなくてはいけないと思ったからで、正直重たい気持ちを抱えていました。しかし、そんな気鬱な思いは、一瞬に吹き飛んでしまいました。

無事に合流して、車の中で、出来たてホヤホヤの天壇斗Sの曲を聴かせていただきました。遥かな宇宙の彼方で、一滴の雫が落ち、静かに波紋が空間に広がっていく、一音一音の間合いに宇宙の広がりを感じる・・・「これは正しく天壇斗の旋律だね!」車の中で子供の様に興奮してしまいました。

その日新しい天壇斗を持って行くことを全くお知らせしていなかったのに、天壇斗のエネルギーが実物よりも先に彼の元に届いていた!凄い!凄い!としか言いようがありませんでした。エネルギー、情報は時空を超えて、受け取られるのだ、それはそれは感動の瞬間でした。

後日談、Lucamina氏に旋律が下りてくるとは、どんな感じなのかを聞いてみました。(彼の曲はそのもののエッセンスを表現しているようで、曲というよりも旋律と表現した方が相応しいように感じているのです。)すると・・・

『前触れもなく、突然頭がぼ~っとなり、旋律が下りてくるのですが、そこに自分の意志も意識も全くなくて、身体の自然現象のようにもよおしてくるのです』ということでした(!!)

こうして天壇斗の旋律は誕生しました。

 

 

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